業種は分けたのに、賭けは1本になっていませんか?
分類規則と計算式(全公開)
このページは、結果を見る前に読めるところに置いてあります。 ここに書いていない計算はしていませんし、ここに書いていない数字も持っていません。
- ・過去のセクター騰落率・平均リターン・勝率などの統計値(1つも持っていません)
- ・金利・CPI・為替レートの値(すべて利用者の入力です)
- ・実在の銘柄名と、銘柄→業種の対応表(受け取りも表示もしません)
理由は同じで、自分で集めて検算していない数字を、診断結果として配らないためです。過去30年ぶんのセクター騰落を自前で集めて検証していないので、「この局面ではこの業種が平均+◯%」は出せません。 数字が無くても「なぜその業種にその経路が効くか」は説明できるので、そちらを出しています。
1. 6本の経路と、押しの出し方
入力された数字を、それぞれ −2〜+2 の5段階に落とします。細かい数字を持たないのは、 年ごとに変わる係数を固定すると、根拠のない精度が出てしまうからです。
ここだけ利用者の判断が入ります。景気の強弱を機械的に決める公表値が1つに定まらないためです。 代わりに、5通りすべてで局面がどうなるかを結果画面に必ず表示しています。
2% を境にしているのは、日本銀行が「物価安定の目標」として公表している数値だからです。 統計から推計したものではなく、公表されている目標値をそのまま基準に使っています。
2. 局面の分類規則
≧ +1 → 上昇 / ≦ −1 → 低下 / それ以外 → 横ばい
景気の軸 = 景気の押し (−2〜+2)
≧ +1 → 強い / ≦ −1 → 弱い / それ以外 → 横ばい
| 金利 | 景気 | 局面 |
|---|---|---|
| 上昇 | 強い | 業績相場 |
| 上昇 | 弱い | 逆金融相場 |
| 低下 | 強い | 金融相場 |
| 低下 | 弱い | 長短差の変化 ≧ 0.2%pt なら 金融相場、それ未満なら 逆業績相場 |
| 横ばい | — | 移行期(判定を保留) |
| — | 横ばい | 移行期(判定を保留) |
金利が下がっていて景気も弱いときに、金融相場と逆業績相場を長短差で分けているのは、 「利下げでカーブが立ってきたときは、先行きの回復を織り込み始めた形と読まれることが多い」という 市場で広く共有された読み方に沿ったものです。統計から出したしきい値ではありません。
利下げや緩和が先に効いて、業績が回復する前に株価が動き始めるとされる局面。借入の重い業種と、将来の利益で評価される業種に追い風が向きやすい形。
景気の回復にあわせて金利が上がっていく局面。金利上昇そのものより、需要の強さのほうが効きやすい形。
物価を抑えるために金利が上がる一方で、景気のほうは減速している局面。金利上昇の逆風が、需要の弱さと同じ方向に重なる形。
金利が下がっていても、業績の悪化のほうが重く見られている局面。金利低下の追い風より、需要の落ち込みのほうが効きやすい形。
入力された数字が、4つの局面のどれか1つに寄っていない状態。無理にどれかに当てはめると、そのぶん外したときの説明がつかなくなるので保留にしている。下のセクタースコアは局面のラベルを使っていないので、移行期でもそのまま読める。
3. スコアの計算式
分母 = Σ|経路の押し| × 2
スコア = 100 × raw ÷ 分母
4. 業種ごとの感応度(全18行)
業種区分は TOPIX-17シリーズ(東京証券取引所が公表している業種区分) に合わせています。感応度は −2〜+2 の5段階しか使いません。
カーブ(長短の差)の感応度を 0 以外にしているのは、短期で調達して長期で運用する業態(銀行・一部の金融)だけです。 他の業種にとって効くのは長期金利の水準のほうなので、カーブに小さい数字を振って 根拠のない精度を出すことはしていません。
| 業種 | 短期金利 | 長期金利 | カーブ | 景気 | 物価 | 円相場 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 食品 | 0 | 0 | 0 | -1 | -1 | -1 |
| エネルギー | 0 | 0 | 0 | +1 | +2 | +1 |
| 建設・資材 | -1 | -1 | 0 | +1 | -1 | -1 |
| 素材・化学 | 0 | 0 | 0 | +2 | -1 | +1 |
| 医薬品 | 0 | -1 | 0 | -1 | 0 | +1 |
| 自動車 | 0 | 0 | 0 | +2 | -1 | +2 |
| 鉄鋼・非鉄 | 0 | 0 | 0 | +2 | +1 | +1 |
| 機械 | -1 | -1 | 0 | +2 | -1 | +2 |
| 電機・精密 | 0 | -1 | 0 | +2 | -1 | +2 |
| 情報通信 | -1 | -2 | 0 | +1 | -1 | 0 |
| 電力・ガス | -2 | -2 | 0 | -1 | -2 | -2 |
| 運輸・物流 | -1 | -1 | 0 | +2 | -1 | 0 |
| 商社・卸売 | 0 | 0 | 0 | +2 | +2 | +2 |
| 小売 | 0 | 0 | 0 | +1 | -1 | -1 |
| 銀行 | +2 | +1 | +2 | +1 | 0 | 0 |
| 金融(除銀行) | +1 | +2 | +1 | +1 | 0 | +1 |
| 不動産 | -2 | -2 | 0 | +1 | 0 | 0 |
| 現金・預金 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
業種の中で割れる点: 公共工事の比率が高い会社は、民需より景気の影響を受けにくい。同じ業種の中でも民需型と官需型で効き方が違う。
業種の中で割れる点: 国内中心の後発薬メーカーと、海外売上が大半の大手、利益がまだ出ていない創薬ベンチャーで効き方がまったく違う。長期金利の影響は創薬ベンチャーで最も強く出る。
業種の中で割れる点: 半導体製造装置のようなサイクルの大きいものと、白物家電のような安定したもの、BtoB の電子部品が同じ業種に入っている。平均としての向きだと思って見る。
業種の中で割れる点: TOPIX-17 の中でいちばん中身がばらばらな業種。通信キャリアとネット企業とSIerと人材会社が同じ枠に入っている。ここが保有の大半を占めている場合、この平均値はあまり当てにならない。
業種の中で割れる点: 陸運(鉄道・宅配)と海運はほとんど別の商売。特に円相場と景気の効き方が逆になることがある。海運を多く持っている場合、この平均値は当てはまらない。
業種の中で割れる点: 資源を持たない専門商社は、資源価格の恩恵をほとんど受けない。ここは総合商社を念頭に置いた向きになっている。
業種の中で割れる点: 百貨店・インバウンド比率の高い業態は円安が追い風になるため、この業種の中で為替の向きが割れる。
業種の中で割れる点: 生損保・証券は金利上昇が追い風だが、リース・消費者金融は調達コストが上がるぶん逆風になりやすい。業種の中で向きが割れる。
業種の中で割れる点: 円建ての現金は、ここで見ている6本の経路では動かない。ただし物価が上がっている局面では、買えるものの量(購買力)は減っていく。それはこのツールが測っている「評価額の動きやすさ」とは別の話なので、感応度は 0 のままにしている。
5. このツールの限界
6. 改定について
感応度・しきい値・業種区分は lib/sectors.ts の1ファイルにまとまっています。改定するときはそこだけを差し替え、 判定エンジンのバージョンと突き合わせ日を全画面のフッターに出します。 いまのバージョンは 1.0.0(突き合わせ: 2026-08-10)です。